<前回までのあらすじ>
レジェンドネットシンガー『雌豚』の復活に「またお前か」と言う余裕もなく驚く古参歌い手厨の男。
男が参戦予定の音楽系同人即売会に彼女が出展するということを知りますます驚く。
「本当に雌豚閣下は存在するのか?」、十数年の時を経ての答え合わせが今行われようとしている……。




早朝6時のM3開催日の光景である。
(※早朝6時はスタッフもまだ会場入りしていない)


さて、長い歴史を誇るM3(音系・メディアミックス同人即売会)にて僕も通算7回目の参戦。
カタログチェックも行きの電車内でやり始める余裕(=面倒くさがりの末路)を見せつけてるんですが、ここ最近はコロナ渦の影響もあり少しでもリスク減らすために開場時間ギリギリで会場着する戦法をとってます。


開場20分前に会場着。
そのまんま列に並びながらボケッとしてたらあっという間に会場。

そそくさと会場内に入り込めた僕は早速、壁スペの常連で同人音楽界でもビッグネームになっているnayutaさんのスペースへ向かいました。


もちろん人気シンガーである以上、開場直後のスペースは大行列。
この場合はゆっくりとした挨拶回りはピーク過ぎてからというのは常識中の常識。
挨拶をそこそこに一巡目は新譜を買ってそそくさと退散。

ちなみに並んでる途中でなゆたんファン界隈のガチでやべー博士とすれ違ったが、ダイエットの成果もあって激ヤセしてて最初気づかんかった。


さて……。ここから移動していよいよ雌豚閣下のスペースに向かうんですが。
さぁ、何を、どう話そうか。まさか本当に雌豚閣下に生対面できる機会が訪れるとは思わなかった。
話したいことはいっぱいある。時間の許す限り「VIPの頃から知ってました」とか「あのネタ好きでした」とかありったけの思いを伝えたい。
……が、どうしたって僕は非リア充のコミュ力ゼロの男。画面の向こうの憧れを目の前に太刀打ちできるとは1ミリたりとも思えねぇ。
今まで何人何十人もの画面の奥のスターに生対面して喋るが、こんなの一生慣れないし一生緊張しっぱなし。

この際だったら生の姿を拝めただけでも収穫だと思ってCDだけ買って逃げようか……、いや待て俺今回新譜をHN付きで取置をお願いしてんだ。そこまでやってんのにそそくさと逃げてるとか情けなさすぎて一生の悔いになりそう……。



そうやって頭の中をグルグルしながら徐々に閣下のスペースに近づいていく。
緊張のあまりもう俺ここでゲロ吐いても許してくれるかもしれない。許されねぇか。

どうしよ、どうしよ、どうしよ。
一回目の前をスーッと素通りして様子見とかやってみるとか、えぇと、なぁ……。

……ん?

見慣れた着物姿の男がいる。


友人がいる!!!!
しめた!!!!!!



気付いた瞬間にそそくさとスペース前に早歩きしてました。
ここで強運が出た。数年来の歌い手大好き仲間・litorumanさんがちょうどスペースにいたのだ。
いい感じの空気の中でなら俺も買いに行ける……!

待て待て。ってことは、彼と今対面して喋っているのが……?




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雌豚閣下だぁ……♡

本物だった。初対面だし話し声が十数年前から明らかに聞き覚えがある。
画面の向こうのスターは実在したのだ。

litorumanさんの真横に居座り気付けばスンナリと会話に参戦していた。
ただ気持ちが舞い上がってて最早何を話したのか自分でも覚えてねぇ。
新譜も購入しようとしたけど取置してたこと自体を危うく忘れそうになる程には。

「まさか再入荷されるとは」「なんだったらVIPの頃から知ってました」とかそんなことは言った気がする。
そういうと嬉しそうに笑って喜んでくれた閣下の姿は明確に覚えてる。

そして最後の嬉々としてアルコール消毒をして望んだ閣下との握手は柔らかくて優しかった……。

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いやぁ。えがったぁ。数分だけだったけど夢心地だった。
古参歌い手厨と自称する身として、青春を彩ったスター達と生対面するために「今まで生きててよかった」と"生"を実感する。
いやいや大袈裟ではなく等身大の思いですわよ。

そう余韻を噛み締めながら、ここからはゆっくりと会場内を巡ってみる。
ここ最近はコロナ渦ということで大事を取って要件済ましたら会場内から出ていくスタンスだったのだが、緊急事態宣言も解かれてる+ワクチン2回接種した今ならちょっとしたリスクにも立ち向かえる。

これが、やっぱり楽しかった。
クリエイターさんの熱気と参加者の熱気。それが入り交ざった空間は実に気持ちがいいし元気が出る。
この空気を味わえるだけでも東京流通センターまで来る価値があるってもんだ。

あ、途中で石油王に出くわしたので「5万寄越せ」と言ってみたんだけど、一蹴されたわ。

楽しかったなぁ。


─完─




いやいや完じゃない。
前回「とんでもないことが起きてしまった」って煽った。これを話せばなるまい。





そして会場を隅から隅まで見回った俺は一旦外に出て休憩。
しばらく経ってから挨拶するために再びなゆたん(nayutaさん)のスペースへ。

近くの溜まり場ではlitorumanさんと再び。そして彼は先に挨拶へと出向いた。
そして挨拶が終わり帰ってきたlitorumanさんは俺にこう言った。

litoruman「なゆたん、閣下がいること知らなかったから閣下のスペースの場所教えといた」
俺「……はい?」


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……え?


歌い手・nayuta歌い手・雌豚
ニコニコ歌ってみた黎明期におけるレジェンド中のレジェンドで有名の歌い手の二人。
その2人はラジオやったり歌ってみたコラボやったりと交友があり、中でも同じくレジェンド歌い手のJさんを加えた「うんにゃひ一家」のユニットは人気を博したですけども。


どうやら最後に実際に会ったのは2008年発売の『ランティスの缶詰』のときだったらしく。


今回の閣下の復帰自体も今年入ってからのはずで、てっきり復帰したこともなゆたん知ってるもんかと思ったら、あらそういうことでしたの??
「それを聞いたなゆたんは閣下に会いに行きたそうにしてた」という証言から総合するに……


日本一心
古参歌ってみたわかんねぇよって人達にわかりやすく説明すると(なんで見に来たの)、
例えるならCOMPLEXのコレみたいな感じのこと。


もうひとつ例えるなら番長の危機に駆けつける98V戦士たち。(あと一人も待ってる)

もうおわかりですね。

この男……
どえらい大仕事やりやがった……!!!

これから起きるであろうことにただただ身震いが止まんねぇ。

そしてしばらく経ってから……

レジェンド歌い手の2人は、
13年の時を経て、
今ここで、
再会を、
果たしたという。

止まってた時計の針が動き出した。
しかもまさか友人の手によって。
ヤクルト優勝
歓喜に沸く俺たち(イメージ)(俺現地だったんだけど)




まぁ、ねぇ。
こういうのにエモさを感じてしょーがない、所詮はしがない歌い手ヲタクなんですよ俺は。
時を経て、閣下が出荷されている内になゆたんも大人になって社畜になって、2人とも結婚して、色々と環境も変わっている中で、なゆたんと閣下が今こうやって再会。
またね、2人が何らかで交流を続けてくれたら嬉しいし、あわよくば再び歌コラボとかが実現してくれたら少なくとも俺は咽び泣ける。(Jさん一刻も早く気付いて)

歌い手厨としての喜びは「元気に活動を続けてくれる」のもそうだし「幸せに日常生活を送れてる」こと自体も喜び。加えて「かつての不思議な縁で繋がった旧友とまた親交を温め合う」のもスゲー喜びなんですよね。

話は前後するんですけど、俺が今回なゆたんに挨拶行ったとき。
「雌豚閣下が実在した!俺レジェンド歌い手は架空の存在でこの世に実在しないと信じてたのに!」とボケたら「実在してたからSON団ライブとかできたからねぇ」と返してくれたりもしつつも……。
その中で結構なマジトーンで「nayutaさんや雌豚閣下がいたあの頃の歌ってみた世界が俺にとっては一番の青春で、それがあったから俺は今生きていけてる」って言っちゃったんですよね。

流石にそれは大袈裟じゃねぇのって思われてそうで怖いんですが、言ってる張本人からすれば誇張なくマジのマジでして。

これはあんまり言うことじゃないと思って伏せてたんですが、実は数年前に色々とあって相当精神状態が危なかったときがありまして。
死にたくはないけど自暴自棄になってもうどうにでもなっちまいそうと思ったときに、『ニコ同ライブ』と『SON団ライブ』ってのがありまして。
それがあったからこそ自暴自棄になるのを思い留まった部分があり、「生きてたらいいことあるよ」と実感したところがあってですね。
そういった意味では、俺はニコニコの当時の歌い手達によって命を助けてもらったって恩があるんですよね。

10数年前から今日に至るまで聞いた、ニコ同出演者とか、SON団メンバーとか、ランティス組曲メンバーとか、パランティス組曲メンバーとか、スタチャ組曲のメンバーとか、ジェネおんパレードのメンバーとか、AHOprojectのメンバーとか、halyosyさんのニコニコラボメンバーとか、2chで某コテハンやってた面々とか、ライブやイベントで見かけた色んな人達とか、Twitterでリプを返してくれた優しい人達とか、でもやっぱりここは一番大好きな三段屋さんとか、とにかくあの時の俺の耳の中に入りこんできた歌い手達の歌声とか人柄とか言葉とかが全てが、全てが。

俺を生かしてくれたんです。

だからこそ嬉しいんです。歌い手として活動してる人に当時の仲間が側に居てくれることが。
綺麗事ばっかりじゃないし、色んな苦いことも消したい過去もあったりするかもしれないですけど。
それでも、そういう関係性でいてくれるのを見るだけで、もう俺自身が今生きてる甲斐があると思ってんです。

この頂いた御恩は一生かけても返せないと思いますが、一生かけてちょっとづつ返し続けます。
やり方は不器用ですが、それで笑ってもらえるなら喜んでもらえるならそれでいいですから。




本当に、本当に……


なんて文章書いてるの俺は……。
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もうね溜まってたもんがあったんですよね、この場を借りて発散させてもらいました。



まぁ、本当に今回のM3通じて、今の俺の感情を再認識させてもらいました。
友人たちのお陰もあり、本当にいい一日を過ごせました。
関わってくれたみなさん本当にありがとうございました、また会いましょうネ。





余談。



オチ

アシストは俺だからな。
濃い人認定されたお。流石に俺は一般人じゃないの……?






●追記(21/11/06 23:10)

雌豚閣下、この記事巡回した模様。

うせやろ。めっちゃ嬉しいんやけど。

しかも。

僕、無事に「濃い人」認定されました。


もう


趣味をとことん極めるのも浪漫という理屈でひとつ。